足りないよ、白山くん。



「おい白山、そろそろ教科書ぐらい持ってきたらどうだ」

「荷物重くなるんで」


……白山くんが私に教科書を借り始めた日から数日。

私たちは毎日机をくっつけて、授業を受けている。


白山くん、絶対にわざと持ってきてないでしょ……

ペンやノートとかも出してないし。


授業中はずっと私の手元を見てるし。


でも、集中できないかと思いきや、意外と助かっている。

なぜなら、私が問題が分からなくて手を止めていると、さらっと解法を教えてくれたりするから。

授業中にその都度解決できて、後で先生に聞きに行く必要もなくなった。


「ふぁ……ぁ」


横で大きなあくびをする白山くん。


そりゃ…眠いよね…

普段なら寝ている授業中に、開始のチャイムから終わりのチャイムが鳴るまでずっと起きているんだから。