足りないよ、白山くん。


そう、俺が初めて見たその傷は数ヶ月前。


「おーい白山!起きろ!」


いつものように先生は俺を起こそうとする。

もうこれまでも授業は何回も寝てるんだから、ほっとけば良いのに。

先生も懲りないなぁ。


それにその日はあんまり体調が良くなかった。

机に突っ伏しているから寝てるように見えるかもだけど、実は頭が痛すぎて寝ることさえできていなかったのだ。

まぁ、そのことに先生が気づくわけもなく。


「水野、頼む起こしてやってくれ」

「…わかりました。

白山くん起きてっ……」


頼まれた水野さんは俺の肩を優しくゆする。


あーあほんと、いつも可哀想。

俺の席の隣だからって毎回起こさなくちゃいけなくてさ。


まぁ俺が寝なきゃ良い話なんだけど。


水野さんも先生と同じで懲りないよね。