足りないよ、白山くん。


でも白山くんがそんなことをするはずなんて……

あっきー先生だって昨日のこと疑ってなかったし、今だって…
どこか悲しい表情をしてる。


「……っ」


何をされるかわからなくて、ぎゅっと目を瞑った。

……けど襲われることはなかった。



白山くんは、私の手首につけていたシュシュを取り外したのだ。

「あっ……」


昨日の夜、切ったばかりの傷があらわになる。



「……ねぇ、
なんで傷つけたの」


白山くんが発した言葉は予想外のものだった。


「………」


「昨日、手首に傷なんて無かった。家帰ってからやったでしょ」




「し、白山くんには、関係な…い」


授業中の時の表情と同じ……怒ってる。



眉間にしわをよせ、いつもとは違って鋭い目つき。

でも話し方は普段と変わらず柔らかい。



「うん、関係ない。
……でも俺、ボロボロな抱き枕はやだ」



子供がわがままを言っているようだった。