足りないよ、白山くん。



「……あった」


求めていたものを見つけ、私は洋服の袖をまくる。



「……酷い傷」


あらわになったのは、腕にあるたくさんの切り傷。

なるべく服に隠れるようにと、二の腕あたりに集中して跡が残っている。



……


手首の方に視線を向ける。



……どうせ隠せるよね。

腕時計だの、シュシュだのなんだってそれを隠すことは出来る。




そして、取り出した鋭利なものを躊躇いなく手首に突き付けた。



「……っ!」



たらっ…と赤い液体が腕を伝って、鋭い痛みが全身に走った。


床や物につかないように、急いでテッシュで押さえる。





ーー痛い。


痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。




……痛いけど、鈍った感覚は戻ってきた。




あーー……またやっちゃった。



どうしたらこれ、やめれるかな。

なんて言っても、どうせやめられないんだけどね。



一度体験した感覚は、忘れることなく病みつきになっていた。