足りないよ、白山くん。




バタンッ



「…………」



自分の部屋の中でただ立ちすくむ。


さっき言われたこと、過去に言われたことが頭の中に強く響く。



『どうして一位じゃなかったの』

『勉強してるフリをして、知らない間に怠けてるんじゃないの』

『雫に勉強の才能なんてない』



そんな言葉を浴びせられたと思ったら



『貴方のためを思って言っているのよ』

『お母さんを失望させないで』

『娘は貴方だけなのよ』




……お母さんの言葉は正しい。


本当に私には勉強の才能はないし、休憩時間に少し遊びすぎてしまう癖も。

だから私は駄目なんだ。



完璧じゃないから。



だから、お母さんを満足させてあげられないんだ。



……



……もっと



もっと、頑張らないと。



でもそう思う度に、体が麻痺したみたいに鈍くなる。



そうだあれを……


私はあるものを取り出した。