足りないよ、白山くん。


「おはよ…」


こちらに視線を向けながら、少し掠れた声でそう言ってきた。


そんな白山くんを呑気だなぁと思いつつも、「先生が呼んでるよ」と声をかける。



ちなみに、私たちはそこまで親しい関係ではない。

でも起こす度に白山くんはなぜかおはよ、と毎回言ってくれるのだ。


ほんと、不思議な人……



「白山、‪”‬我思う故に我あり‪”‬と述べた人物は?」


「デカルト」

「……正解だ」



おぉ…と、クラスのみんなが驚く。



……授業の最初から寝てたのに、答えられるなんてすごい。

教科書すら机に置いてないから、知識として知ってたのかな…?

だとしても、悩む様子なくすんなりと答えられるなんて。


でも、問題を出した先生は、不服そうだった。