足りないよ、白山くん。


「雫はね、可愛くて賢くてそれでーー」

「え、えっと!私、特に好きな人とかそういうのいないから…!」



暴走しかけのはるちゃんを止めるべく、自分の口からそう伝える。



「え、マジで?じゃあ俺たちにも可能性はあるってことか…」



ん…んん?

何か話の方向性が違うような。



「アンタたちみたいな奴と雫が結ばれるなんて、百年早いわ!」



はるちゃん、言い過ぎだよ…

あと、私なんか遠くかけ離れた神みたいな存在じゃないし…



そんな風に言い合いをしていると、突然ガタッと白山くんが椅子から立ち上がった。



「おい、白山どこ行くんだよ」


「保健室」



…体調でも悪いのかな?


廊下に出ようと、白山くんが扉に手を掛けた時。


パチっ…


…?

何故か彼と目が合った。



「……うるさい」



そして、その言葉だけを残して行ってしまった。