B4サイズに魔法をつめて

白衣を着ていて、聴診器を首にかけてぶら下げている。

医師なんだろうな、と思った。



お母さんが、
「先生、千冬が目を覚ましましたっ」
と、報告している。



「お名前、言えますか? 氏名を教えてください」



医師らしい男性は事務的な声で言い、そのことが私を更にイラつかせる。



「塚原 千冬!! もういいでしょう? 帰りたいんですよ!!」

「塚原さん、僕は外科の宮川(みやかわ)です。あなたはしばらく帰ることは出来ません」

「千冬、足も手も骨折してるんだよ。体中怪我だってしてるし、無理言わないの」

「お母さんは黙っていてよ!!」



イライラした。

帰りたい。

漫画、描かないといけないし。



ふと気づいて、
「……今日って何日?」
とふたりに尋ねる。



「15日だよ。千冬が事故に遭って、2日経ったの」



そう答えたお母さんに、
「15日!?」
と聞き返す。



「2日も無駄にした!! 2日も!!」



絶望感しかない。

2日あれば、かなりネーム作業は進んだはずなのに。