ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜

また景色が変わった。
ここは…外?
霧で前がよく見えないけど、森の中のような自然に囲まれた景色の中だった。
その奥にポツンと立っているのはカレンちゃん。
「恋星、奥に行ってみよう」
真白くんの言葉に頷き、私たちはゆっくり進んでいった。
奥に誰かいる?
さらに奥には3人の人影が見えた。
カレンちゃんはその3人を見つめていたんだ。
銀色の髪のまさに女神のような神々しい女の人が、縛りつけられてうなだれていた。
今にも死んでしまいそうだ。
「なあ、こいつぐったりしてね?」
「…魔力を取りすぎたとか?」
女の人の隣にいる男の人2人が、そんな話をしている。
魔力…ってことは、あの女の人はヴァンパイアなのかな?
でもあの髪色がなにか引っかかる。
すると、突然カレンちゃんの声が聞こえた。
『真鈴は魔力を持ってない。自分の寿命を削っているのよ』
私はハッとした。
思い出した、あの伝承の女神の存在には“銀色の髪の女”というのがあった。
ここからじゃ顔がよく見えないけど、あの人は真鈴さんなんだ!
『こっちにきちゃダメよカレン!貴女まで危険にしたくないの…。お願いよ、今すぐアイリス邸へ走って!!』
今度は真鈴さんの声が聞こえた。
2人とも喋っていないはずなのに…。
もしかしてこれは、心の声なのかな?
そして、カレンちゃんはその心の声を読んだように走り出した。
もちろん、真鈴さんとは逆方向に。
『本当にこれでいいの?私はこの後、ちゃんと真鈴を助けられる?怖いよ…!』
カレンちゃんは突然動きを止めて、こっちを見た。
それに合わせて、私も真鈴さんの方に振り返ってしまう。
誰の心の声も聞こえなかった。
だけど、たしかになにを言っていたかは理解できた。
『ありがとう。そして、さよなら』
瞬間、真鈴さんは弾けていなくなった。
残酷な光景だった。
「いやぁぁぁぁぁ!!!」
その声と共に、景色がパッと変わる。
まるでテレビのチャンネルを変えた気分だ。
でも、後味がすごく悪い。
今度は薄暗い部屋の中。
目の前には紫色の髪の小さな女の子が座っている。
全く知らない子のはずなのに、なぜか華恋ちゃんだということはわかった。
外見も全く違うのに、どうしてだろう。
その隣にはすごく大人びた女の人が座っていた。
その女の人は言った。
「あーそろそろ日付変わっちゃうね。よし!じゃあ、最後にこれだけ伝えるね」
やけに“最後”という言葉が耳の残る。
嫌な予感がじわじわ押し寄せてくる。
この人も、もしかしたら——。
「私はね、華恋と同じで転生ができる女神なんだ。華恋もでしょ?」
女神…。
この人も、伝承の女神なんだ。
「…ええ、そうよ。私はこれが2回目の人生」
2回目の人生ってことは、前に天音さんに教えてもらったマフィアの時の出来事みたいだ。
そして、女の人がクスッと笑った。
「でも、華恋はどの体でも18歳にならずに終わっちゃう。そして、華恋が転生できるのは回数が決まってる。そういう契約だもんね」
ドクンッと心臓が大きく音を立てた。
今の華恋ちゃんの年齢は、私と同じだから15歳だ。
この女の人が言っていることが本当なら、後2年も経たないで華恋ちゃんは死んじゃうってこと?
契約って…どうして…。
「ルピナスはなにが言いたいの?」
「また華恋と会える可能性は、とても低いってこと。でもね、私は“さよなら”って言葉が嫌いなの。だから…私はその言葉を言わない」
その言葉に、華恋ちゃんは真剣な顔で頷いた。
「そうね、きっとまた会えるわ。ルピナスがそういうなら、私もそう信じる」
「ありがとう華恋。今までありがとう」
ルピナスさんは儚げに笑った。
その胸に点々と赤い痕ができていく。
そして、とうとう血があふれ出した。
「いつかまた、会いにいくわ。あなたの呪いを解く日に。瑠璃華(るりか)羅華(らか)をよろしくね」
「うん、また…また会おうね。華お姉ちゃん」
そうして、目の前が真っ黒になった。