ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜

天音は生まれた時は人間だった。


スラムでは珍しい人間。


スラムっていうのは、上層部のお城なんかがある場所から魔力が流れてきてたまる場所。


魔力を生まれら時からずっと浴び続けるとどうなるか。


それは簡単、能力者になるんだよ。


能力者になる条件はふたつ。


ひとつは、大量の魔力を浴び続けること。


ふたつは、誰かを助けたいと強く願った時。


つまりひとつ目の条件を満たしやすいスラムの子は、自然と能力者になりやすいのだ。


そんな中、私は人間として生きてきた。


ある組織に捕まるまでは。


世界のトップに立つことを夢見る「レヴリー」という組織に、5歳の時捕まってしまった。


当時研究されていたのは、人間を王族のヴァンパイアに変えること。


大抵の人間は王族の血に耐えられず死んでしまう。


それほど王族の血は強いものだからだ。


しかし、大量の魔力を浴び続けてもなお人間を保つ子ならどうだろうか。


そう考え、組織は私を捕らえた。


その後少しずつ私に王族の血を流し、1年かけて私は王族のヴァンパイアへと姿を変えた。


授かった能力は闇。


王族でも最強と言われる闇を持った私を、組織は逃すわけにはいかなかった。


己の夢のために。


ただ、逃げないということを判断された私は、いつのまにかなんでも許されるようになった。


好きなものを食べられるし、遊んでもらえるし、街にだって行ける。


自由だった。


そして、私はスラムでひとりの少女に出会った。


アリスと名乗った女の子は、本当にあの不思議の国のアリスのようだった。


私はアリス…ありちゃんが大好きになった。


それと同時に、悪に手を染めている私を知られたくなかった。


自分が生き延びるためとはいえ、天音は研究に力を貸している。


国家反逆罪になるだと自分で理解していたけれど、何もしなかった。


仮にも私をスラムから救ってくれた彼らに恩返しをしたかった。


そんな汚い私を見てほしくなかった。


しかし、私はある日を境に反抗するようになった。


「そろそろ次の研究に進もう。次は能力者を捉えるんだったか?」


「ええ、そうね。なら、天音と仲が良さそうなアリスという子はどうかしら?」


ありちゃんの名前が出て怖くなった。


というより、自覚した。


この人達は根っからの悪で、ただ私を利用しているに過ぎないんだって。


信じたくなかったものを、信じてしまった瞬間だった。

大切なものを守りたかった。


「やめて!!ありちゃんを虐めないで!」


「あ、天音…。違うのよ、別に虐めないわよ?」


「そ、そうだぞ!俺達は虐めようと思ってるわけじゃ…」


明らかに声色が変わった。


私は、いったい何を信じていたのだろう。


バカバカしくなった。


「うるさい…。どうせ利用してるだけのくせに!!騙せると思わないでよ!!」


「天音!!」


私は施設を飛び出して行った。


それから何もないフリをして、いつものようにありちゃんに会いに行った。


そうしたら、あの平和な日に戻れると錯覚したのかもしれない。


そんなわけないのに。


間もなくして私は施設の人に捕まり、ありちゃんが助けに来てくれた。


そこで私は力を覚醒させてしまった。


王族ヴァンパイアの覚醒条件それは、人間の血を飲むこと。


各能力の質を向上させることができる。


結果的に、最後まで私はありちゃんに救われた。


事実に気がつくことができたのも、施設という檻の中から抜け出せたのも。


全部ありちゃんのおかげ。


「ありがとうね、ありちゃん」


これが私達の絆を深くさせた出来事だった。