裏社会の私と表社会の貴方との境界線

「来たか。…早速だがカレン、お前に選択肢をやろうと思ってな」


そう言って立ち上がった。


この男の名はトリカ・アイリス、この家の主人であり私の実の父である。


私が落ちこぼれだということを知り、私を1度は捨てようとも考えたそんな残酷な男だ。


それにしても、御主人様が私なんぞに選択肢をくれるとはどのような心境の変化が合ったのだろうかとても不思議だ。


「カレン、お前はレンカの通うバーベナ学園へ行ってもらう。もしお前が私に認められたいと言うのならば、レンカ以上の成績を出してくるのだ」


レンカというのはアイリス家令嬢のレンカ・アイリス、私の姉のことである。


そしてバーベナ学園は、国1番の名門校。


限られた優秀生徒のみが通える、超優秀学園なのだ。


バーベナ学園に通えるなって思ってもみなかった…。


嬉しさを隠し、本当にバーベナ学園へ通えるのかを確かめるかのように御主人様に確認を取る。


「御主人様に認められたいのならば、レンカ様の成績を越えなければならない、ということで合っていますでしょうか?」


御主人様はゆっくりと頷いた。


「承知いたしました。ちなみに、学園に通うのはいつ頃からでしょうか」


少しにやけた顔を隠すように深く礼をしてお礼の気持ちを表してから、ひかえめに質問を投げる。


「6月16日月曜日からだ。ちょうど1週間後のな。早急に準備することを勧める」


「承知しました。感謝いたします」


私がそう言うと、御主人様は手に持っていた杖をドアへ向ける。


「下がれ」


私は深く礼をしてから回れ右をして、部屋から出る。


「…失礼いたしました」


用が済んだ私は、まだ仕事が残っているため仕事場へと向かうことにした。


「御主人様に呼ばれて、あんなこと言われていたのにカレン様はすげーな」


「ほんとほんと。なんであんなにも堂々とできるのか不思議だよ」


そんなふうに言われているのも知らずに。