裏社会の私と表社会の貴方との境界線

「あそこの部屋だよ」


ユウが、そう言って1番奥にあるきれいな木製の扉を指差した。


指を差された部屋の前に立って見ると、より一層扉の木目が見えてきれいに見える。


横目で右隣の部屋の名前を確認すると、「真白(ましろ)様」と書かれていた。


妙に引っかかる気がして記憶を掘り返してみると「真聖(ましろ)」という言葉が出てきた。


そうだ…真聖ノア!!


一瞬そんなことが脳裏(のうり)をよぎった。


けれど漢字が違うので別人かもと思い、とりあえず忘れることにした。


ガチャ。


ドアを開けると、すごく爽やかな匂いがぶわっと部屋の中から出てきた。


どこか懐かしいような、そんな心地の良い匂い。


その心地よさを感じながら、リビングらしきところに歩いて行く。


予想通りで、そこはリビングだった。


すぐ右には大きくきれいな大理石のキッチンがあり、部屋の真ん中にはふかふかそうな緑色のソファ、その高さに合わせた丸いテーブル。


まさに、誰もが“いい部屋”と言いそうなほど完璧な寮部屋だった。


この部屋に住めるのが嬉しくなった。