裏社会の私と表社会の貴方との境界線

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雨晴家を出発してから10分ほど経った頃、ふと思った。


気まずいな…。


普段は瑠璃華や羅華、ユキといるため、変に気を使うこともなくとても気楽なのだ。


しかし、メア家との関わりといったら任務くらいなので話すことも思いつかない。


それによりによって、あまり喋らないツキとふたり。


ユウとかならまだマシなんだろうが。


いっそこのまま寝てやり過ごそうか、そう思った時ツキが珍しく私に言葉を発した。


「昨日…4人で何やってたの?」


「えっ?」


驚きすぎて、こんな単純な言葉すらも瞬時に理解することができなかった。


そんな私を見て、ツキが嫌そうに顔をしかめた。


「何、僕と話すのがそんなに嫌って?」


「ち、違う違う!その…なんで4人でいたって知ってるのかなって」


「私に話しかけてきたことにびっくりしたから」なんて言ったら、余計に機嫌を悪くさせそうな気がして嘘をついた。


けれど、この疑問も本当。


昔に嘘をつくのも大の得意になった。


だからか、今もツキは疑う様子もなく話を続けた。


「昨日、任務のことで雨晴ボスに呼ばれたんだ。その後ユキが華恋に会うって言ってたの思い出して、華恋の部屋の前まで行った時に4人の声が聞こえたから」


私のこと心配してくれたの…?


とっさにそう思ったが、そんなことをツキがする必要がない。


それにツキはとにかく他人に興味がないから、そんなことはありえないだろう。


「そっか」


そっけない返事をした後、ツキが何か言っていた気がする。


「心配くらいするでしょ…」


ボソッとツキが言った事に、私は気がつかなかった。