裏社会の私と表社会の貴方との境界線

「瑠璃華」


そんな瑠璃華に私は冷静に、落ち着いた声で名前を呼んだ。


「大丈夫よ、安心して。私がいなくなったら、瑠璃華と羅華が雨晴ファミリーを支えるのよ?そんな瑠璃華がびくびくしてちゃダメでしょう?」


「で、でも…」


「瑠璃華〜?」


瑠璃華が私を心配してくれているのは、誰が見ても分かる。


けれどここで、引き下がるわけにはいかない。


それに、メア家からの任務を断ることもできないし。


私は下唇を一瞬ぐっと噛み、湧き上がってくる感情を必死に抑える。


「ねっ!そんなに心配しないで?これでも私はマフィア最強って言われてるの。ちょっとやそっとじゃ死にやしないし、捕まったりしないわ。私は瑠璃華と羅華を信じてる。だから瑠璃華も私を信じて」


瑠璃華は少し戸惑った表情をしてから、やがて笑顔で頷いてくれた。


それから羅華を見ると“大丈夫”とでも言っているように頷いてくれた。


もう、大切な人をこれ以上失いたくない。


真鈴(ますず)やレンカのような道は歩ませたくないの。


だから…ごめんね。


この時、私は知らなかったのだ。


この選択をした事にどれだけ自分を恨むことになるかを。