私を気遣い、ノルベルト公爵からの視線を切るように微妙に立ち位置を変えてくれたサイラスに心の中でお礼を言いながら、私はにこりと微笑んだ。 「もちろんです。さ、挨拶へ行きましょう」 そして私たちがいざ公爵夫妻の元へ、足を踏み入れたその時だった。