イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。


 湊さんが見せてきた写真。真紀ちゃんの隣にいる男性は……湊さん? うん、湊さん、だと、思う。真紀ちゃんを見るに、きっと彼女が中学の時の写真かな。湊さん、金髪でピアスバチバチだな。


「真紀と似てないって? 俺は父親似でアイツは母親似だからな。だけど、何回か会った事あるぞ。お前らで映画見に行くからって車で送迎までしてやったのに、忘れるなんて薄情なやつだな」


 待て待て待て、まずは脳内の古い記憶を呼び起こせ。真紀ちゃんとは中学に入学した頃からの同級生の友達だった。高校を卒業してから自然と会わなくなってしまったけれど……


「……ピアス、バチバチですね」

「そうだな。模範的な学生でもなかったし」

「……なるほど」


 そういえば、湊さんの耳にピアス穴いくつも開いてるなと思った時があった。そういう事か。

 そんな人が、エリート警視になったと。だいぶ驚きである。


「お見合いの時にお前だって分かったのは、知っていたからだ。それにお前は友達思いだという事も、どの大学に行ったのかも真紀の話で知っていたしな。本物のお見合い相手も同じ大学に通っていると気づいていたから、友達なんじゃないかと予測しただけだ」


 さすが、エリート警視……

 どうして私だと見破ったのか気にはなっていたけれど、そういう事だったのか。じゃあ、すき焼きでねぎが好きだったことも、真紀ちゃんの家ですき焼きを食べさせてもらった時に知ったのか。

 あとは……あの湯豆腐。あれ、そういえば真紀ちゃんが持ってきてくれたんだっけ。なるほど、そういう事か。


「お喋りな妹のおかげでお前の両親の事も知ってるからな」

「……えっ」

「文句を言うなら真紀に言え」


 ま、ま、真紀ちゃん……!? ちょっと待って一体どこまで言ったの!?

 え、じゃあ、離婚の事も、母親の事も……う、そ……全部知ってるの!?


「……忘れてもらっていいですか」

「今更何言ってるんだ。むしろ知っててよかっただろ」

「……ごめんなさい」

「一体何に対する謝罪だ? それ」

「……すみません」


 つい出てしまった謝罪に、この野郎と呟きつつも顎を掴まれてしまった。痛くはない、けれど……視線が、痛い。危うくまたごめんなさいを言いそうになってしまったのを何とか堪えた。……いや、それもバレてるかもしれない。