この恋は妄想じゃありません

「莉紗先輩遅い!」



放課後。



なんで私、遊園地に行こうとしてるんだろう。



結構早く行ったと思ったのにもう下駄箱で、瀬名くんが待ち構えていた。



下駄箱で靴を履き替えていると、乃愛ちゃんに話しかけられた。



「あ!莉紗先輩と三琴くん」



「こんにちは」



「そういえば莉紗先輩って小説書いてたんですね!意外です」



乃愛ちゃんもこのことを知っているんだ…。



1年生でも噂が広がっていると知って胸がザワザワする。



「乃愛、悪いけど俺ら行くね」



まるで私の気持ちを分かっているみたいに、私の手を握った。



「瀬名くん?」



私の手を握る力が強い。



手を引いてくれて嬉しかったけど、乃愛という呼び方に複雑な気持ちになる。



「嫉妬」ってやつだ。



今日遊園地なんか行ったら、気持ちが溢れちゃいそう。



「莉紗先輩、ごめんね」


「何が?」


「俺、勝手にあいつに嫉妬してた」



あいつっていうのは夏川くんのことだろう。