いきたい僕ら

その声が聞こえた瞬間、言いようのないおぞましさと、耐え難い吐き気に襲われた。

咄嗟に口に手を当て、立ちあがろうとする。

それに気づいたレンがすぐに手を貸してくれて、倒れることは防げた。

フラフラしながら洗面所に向かい、吐いた。

えずく度に腹の傷が痛み、頭の中がぐちゃぐちゃになる。

何がそんなに怖いのか、何をそんなに恐れているのかわからないまま、発狂しそうだった。

背中をさするレンの手だけが、僕を正気に留めていた。

……しばらくそうしていると、次第に落ち着いてきた。

「ありがとう……レン。もう、大丈夫……。」

そう言うと、レンはまだ心配そうな顔をしているが、手を貸してくれた。

軽く口をゆすいで梨杜さんと蒼さんのところに戻る。

「すいません……戻りました……。」

「大丈夫……じゃなさそうだね。」

僕を見た蒼さんが言った。

「今日はこれで終わりにしよう。こっちでもいろいろ調べてみるけど、また話聞かせて。」

「ダメです!!」

大声を出していた。

「アレには、もう関わらない方がいい。ヒトの手に負えるものじゃありません。」

漠然とだけど、確信があった。

あの魔法陣については調べてはいけない。

少しでも知ってしまったら、もう戻ってはこれない。

ヒトとして生きることは叶わない。

「その先にあるのは、破滅の未来だけです。」

「いやー、よく分かってるね。きみ。」

突然、聞こえるはずのない声が聞こえ、世界の音と色が消える。

レンも梨杜さんも蒼さんも、時が止まったかのように動かなくなった。