いきたい僕ら

……あのあと、僕もレンもおかしくてすぐに笑い出してしまった。

「御意って、いつの時代?」

「律樹さんこそ、なんですか『蓮斗』って。」

そうやって笑い合っていると、急に全身の力が抜け、体が傾いた。

「やばっ……!」

そう思ったときには全てが手遅れだった。

咄嗟にレンが手を伸ばすのが見えたが、それを掴む前に僕は床に倒れ込んだ。

派手な音を立てて近くのものも倒れ、僕はその場にうずくまる。

「律樹さん?!大丈夫ですか!!」

レンが焦ったように言い、僕の体をそっと仰向けにした。

「だい、じょぶだけど……まずいかも……。」

傷の部分が赤く染まっていた。

当たり前だろう。

いきなり立ち上がって、倒れ込んだりなんかして、傷が開かないほうがおかしい。

「え、と……まずどうしたら……」

いつもは冷静なのに、珍しくレンは軽くパニックになっているようだった。

逆に僕は、当事者だというのに、どこか他人事のように冷静に状況を見ていた。

「レン……落ち着いて。とりあえず、ナースコール……。」

僕に言われて、レンは枕の横にあるボタンを押す。

これですぐに人が来るだろう。

「律樹さん……」

「だいじょぶ。だから……深呼吸して?」

泣きそうなレンの頭を撫でながら言うと、レンも言われた通りに深呼吸をする。

そんなことをしていると2人の看護師が部屋に入ってきた。

「律樹くん、どうしたの?!」

状況を見て驚いたように声を出した。

「ちょっと……落ちちゃって。いろいろ、やばいので……助けてください……。」

看護師の対応は早かった。

まずは1人がレンを離れたところにある椅子に座らせ、もう1人が僕をベッドに戻す。

そのまま包帯を外し、傷の応急処置。

レンの方に行っていた人は、散らかっていたものを片付けてくれた。

この間わずか2分。

処置が終わると、看護師たちは「気をつけて」と言い残して部屋を出ていった。

それと入れ違いで戻ってきた梨杜さんに、何があったか問い詰められて今に至る……というわけなんだけど。