いきたい僕ら

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部屋の中は阿鼻叫喚だった。

「っ……!」

入った瞬間にむせかえるほどの血の匂いを感じ、

「梨杜?」

部屋の中央では梨杜姉が倒れていて、

「ヤベェなおい……。」

部屋の隅には血の海に倒れる2人と、泣き叫ぶ少年。

正直、目を逸らしたかった。

でも僕にはそんなことできない。

……考えろ、どうするのが最善か。

ここで僕がパニックになったら、誰も助からない!

……よし。

「羽澄、梨杜姉頼む!龍さん、あっち!」

僕は龍さんと一緒に部屋の隅へと走った。

「律樹さん!律樹さん!!」

泣いている少年、蓮斗くんを律樹くんから引き離す。

龍さんはすぐに律樹くんの手当てを始めた。

「っ!離せ!」

「離さない!とりあえず落ち着いて!大丈夫だから!絶対に大丈夫だから!!」

「絶対」なんてないのはわかってる。

今のこの状況を見たら、助かることが絶望的だってこともよくわかる。

だからこそ、彼はこんなに必死なのだ。

「離せよ!嫌だ……律樹さん!!ねえ!離してよ!!」

「大丈夫だから。僕たちがなんとかするから!だから、落ち着いて。ゆっくり息を吸って。」

蓮斗くんはパニックを起こしていた。

このまま放置するのも、無理矢理気絶させるのも危険な状況だ。

僕は蓮斗くんを抱いて、頭を撫でてやることしかできなかった。

……しばらくそうしていれば、次第に落ち着いてきたようで、暴れることはなくなった。

ただ、泣いていた。

「蓮斗くん、外行こうか。」

こんな血生臭い場所では、落ち着いて話すこともできない。

それに、彼にとっては辛い現実が2つ、ここにはあった。

しかし、彼は首を横に振った。

僕は龍さんを見た。

この間に、龍さんは律樹くんの傷の止血を終わらせ、即席ではあるが、包帯を巻いていた。

「どう?」

「とりあえず今すぐ、ってことはないだろう。だが、急がねぇとやばいな。」

龍さんの答えを聞いて、蓮斗くんに向き直る。

「大丈夫だよ。律樹くんも一緒。病院に連れて行かないといけないから、付き添いを頼みたいんだ。いい?」

優しく、諭すように言えば、彼は頷いた。

「龍さん、頼める?聖藍に任せてくれればうまくやると思うから。」

「わかった。」