いきたい僕ら

梨杜さんはさっきまでと同じように、思いっきり扉を開けた。

瞬間、風が流れ、思わず目を閉じる。

目を開けば、さっきまでとは比べ物にならないほど広い空間があった。

床には見覚えのある六芒星と燃える目。

部屋の隅には大量の死体。

そして中央には、真っ黒の衣装にフードを深く被った人物と、その足元で気を失っているレン。

八神は、今まさにレンにナイフを振り下ろそうとしていた。

「やめろっ!!」

拳銃を構えて発砲。

ガキーン!と派手な音がして、八神のナイフは弾き飛ばされた。

すぐさま走り、2人に近づこうとするが、八神が撃った銃弾に阻止された。

「これはこれは、結構なご挨拶ですね。」

八神が感情のない声で言った。

「八神、その子を返してもらおうか。」

梨杜さんが八神の動きに十分注意しながら言う。

僕も、いつでも撃てるように拳銃を構えていた。

「それは、ちょっと無理なご相談ですね。」

「そうか。それじゃ無理矢理返してもらうしかないね。律樹、大丈夫か?」

目を逸らすことなく答えた。

「いけます。」

「じゃ、頼んだよ。」

その言葉と同時に、僕は再び走り出した。

そして、前にレンからもらった目眩しを地面に叩きつける。

足元に白い煙が広がった。

さっきと同じように、僕の足を狙って八神が撃ってくるが、視界が悪い中では大して脅威じゃないだろう。

せいぜい銃弾が当たった床から跳ねた小石が痛い程度だ。

「小癪な……」

八神に初めて焦りが見えた。

梨杜さんが消えたからだろう。

本気で気配を消した梨杜さんを探すのは、僕でも無理だ。

八神にとってもそれは同じなようで、僕よりも梨杜さんの姿が見えないことに焦りを感じているようだった。

だからまずは梨杜さんをなんとかしようとするはず。

レンと僕への警戒は薄い。

わずかな気配を辿ってレンに近づき、その体を抱き抱える。

そしてそのまま、八神から離れた。

「よし……」

予想通り、レンの奪還自体は簡単にできた。

あとは八神をなんとかすれば万事解決……。

足元の煙が消えていく。

中央を見れば、肩で息をして立っている梨杜さんと、地面に寝そべっている八神がいた。

……大丈夫そうだ。