いきたい僕ら

こうしてその日は3人で遊ぶことになった。

オセロをしたり、ホッケーをしたり、縄跳びをしたり……。

樹楽さんは優しかった。

なにより、律樹が楽しそうだった。

律樹と姉の仲が良さそうで、俺は安心した。

帰り際、律樹が近くにいない時を見計らって樹楽さんが俺に声をかけてきた。

「朝陽、ありがとね。律樹と仲良くしてくれて。」

1日遊んでいるうちに、樹楽さんは俺を呼び捨てにするようになっていた。

それだけ仲良くなれたのが嬉しかった。

だけど、どうしてそんなことを言うのか分からなかった。

「……?」

樹楽さんにもそれが伝わったのか、説明してくれた。

「ほら、律樹ってちょっと言葉が少ないでしょ?だから幼稚園であまり馴染めなくて、同年代の友達、いないのよ。」

それで納得した。

確かに初めて会ったときの律樹は、全くと言っていいほど喋らなかった。

その分全部顔に出てたけど。

「俺がしたくてしてるだけなので、お礼を言われることじゃないですよ?」

俺がそう言うと、樹楽さんは少し驚いたような顔をしてから笑った。

「……そっか!」

その顔は律樹によく似ていた。

「ねえ、また私も遊びに来ていい?」

樹楽さんは楽しそうに聞いてきた。

「いいですよ!律樹も楽しそうだし!」

「やったね!」

俺より5つも年上なのに、そうやって喜ぶ姿は俺たちと同じくらいの少女に見えた。

「あー、朝陽が姉さんに浮気してる!」

俺たちが2人で話しているのを見つけた律樹がそう言ってくる。

「何言ってんの?」

俺は真面目にそう答えたが、樹楽さんはそうじゃなかった。

彼女は俺の腕を取って、律樹に見せつけるようにして、言った。

「ふっふーん。朝陽は貰っちゃったもんね!」

「は?ちょ……樹楽さんまで何言ってんですか?」

「姉さん!僕の朝陽取らないで!」

そんな俺たちを、華野さんや実樹さんは微笑ましげに見ていた。