いきたい僕ら

……外はすでに明るくなり、孤児院も騒がしくなってきた午前8時。

ゲームのコントローラーを持ったまま、いつの間にか眠っていた僕は、レンに肩をゆすられて起きた。

夢は見なかった。

「律樹さん、起きてください。携帯鳴ってますよ。」

そう言われて確認してみれば、梨杜さんからだった。

「ん……ごめん。ありがと。」

伸びをしながらレンに言い、電話に出る。

「もしもし、お疲れ様です。」

『お疲れ。昨日はよく眠れたか?』

梨杜さんの声は少し疲れているようだった。

「そう言う梨杜さんは眠れたんですか?」

質問を質問で返すのは良くないが、梨杜さんがそういうのをバレるようにやることがないのでつい……。

梨杜さんは少しむくれたようにして答えた。

『バカ言え。森の整備、襲撃者の処分、八神の拠点探し、どっかの誰かさんのメンタルケア……。やることが多すぎて寝てる暇なんかないよ。』

僕のせいだった。

「すいません……。」

『いやいや、謝ることはないさ。ちょっとからかっただけ。元気そうでよかったよ。それで、なんだけど。』

愉快な声色から一転、仕事モードになる。

『蓮斗に八神のこと話そうと思う。』

チラリとレンの様子を伺う。

ゲームに夢中で、こっちの話なんか聞いていないみたいだ。

……よく飽きないな。

「理由をお聞きしても?」

『今後、蓮斗の協力があった方が動きやすいと思ったからだ。それに見張りもつけやすくなるし。』

まぁ、道理か。

いつまでも隠しておけるとは思っていないし、知るなら早いうちがいいとも思う。

これ以上のことが起こる前に、何らかの対策を立てなければならない。

だから教える、って感じか。

「わかりました。本部に連れて行きますか?」

『いや、迎えをやるよ。それで、お前はしばらく安静にしてなさい。任務も、こっちで割り振るから。怪我が治るまでは無理して動かないこと。いいね?』

「えー……。」

『いいね?』

「……はーい。」

圧に負けました。

通話を終えて、レンに声をかける。

「レン、このあと本部の人が迎えにくるから支度して。」

レンはやっていたゲームを中断して、不思議そうに言った。

「え?何でですか?」

「梨杜さんが話したいことがあるんだって。」

「へぇ……。律樹さんはこないんですか?それに迎えって……なんかあるんですか?」

当然の疑問だね。

「僕は行かない。怪我が治るまでは絶対安静にしとけよって脅されちゃった。」

右腕を指差しながら笑って言う。

「それと昨日僕たちは襲われてる。1人での行動はなるべく避けた方がいいから、安全面から本部の人が一応って。」

「分かりました……。」

納得はしていないようだったが、理解はしてくれたようだ。

……しばらくして、本部の人がやってきた。

「それじゃ律樹さん、行ってきます。」

「いってらっしゃい。」

……それからしばらくは、平穏な日常が過ごされた。