いきたい僕ら

「……それで律樹さん。俺ずっと気になってることがあるんですけど。」

レンが真面目な顔になって言う。

「なに?」

「俺、なんでまだ医務室にいるんですか?」

あー、確かに。

「蒼さんが戻ってきたら、部屋に戻っていいか聞こうか。」

レンは別に怪我してるわけじゃないから、戻ってもいいはず。

僕がついていれば、八神からも守れるし。

「わかりました。それともう一つ。こっちの方が聞きたいんですけど。」

レンの声が低くなる。

「……律樹さん、俺に隠し事してません?」

「……なんのこと?」

仮に八神のことだとしたら、僕の独断で話すことはできない。

これは清部会の問題だから。

他に隠してることというと……朝陽のこと?

名前くらいは言ってるけど、詳しいことは話していないからな……。

「なんか、みんなピリピリしてません?蒼さんもそうだったし、律樹さんも、何かを警戒してる感じがする。」

八神のことだ。

……完全に無意識だった。

なんでそう、無駄に察しがいいかなぁ。

でもそれを分かりやすくしたらいけない。

「そう?気のせいじゃない?」

「そう……ですか?」

レンがそう言ったところで、扉が開き、蒼さんが入ってきた。

「話、終わった?」

「あ、はい。ちょうど。」

蒼さんに返事をしながらチラリとレンの様子を確認する。

納得した様子はなかったが、あえてそれを尋ねることもしなさそうだ。

「あの蒼さん、レンは部屋に戻ってもいいんじゃないですか?基本僕がついていますし……。」

蒼さんは少し考えて口を開いた。

「んー……戻る分にはいいんだけど、」

そこで言葉を切り、僕だけに聞こえる声で言った。

「今の状態で彼を守れる?」

「……1人にしなければ、迂闊には手を出してこないでしょう。森の中で襲ってきたときも、いつでも攫えたはずなのにしなかった。確実に1人になるまでは何もしてこないはずです。」

妙な自信があった。

「そう……。根拠は?」

「勘です。」

蒼さんは一瞬ポカンとして、笑い出した。

「……あはは!君面白いね。いいよ。好きなとこ行きな。」

それを見てレンもポカンとしていた。

「……ありがとう、ございます?」

ひとしきり笑った後、蒼さんは真面目な顔に戻ってレンに言った。

「ただし、絶対に律樹くんを1人にしないこと。まぁ、心配ないと思うけど。」

レンが1人にならないように、じゃなくて、僕を1人にしないように。

確かにそう言った方がレンに不信感は抱かせずに済むだろう。

「……はい!それじゃ、俺たち部屋で寝るので、失礼します!」

言ったかと思うと僕の腕を引っ張って走り出した。

「あ、ちょ!蒼さん、おやすみなさい!」

「うん、おやすみ。」

レンに遅れないように走りながら言う僕に、蒼さんは言った。