いきたい僕ら

……どれだけの時間が経っただろうか、僕が静かになったころに、梨杜さんが口を開いた。

「律樹、楽になれる方法なんて、存在しない。」

「……」

「だけど、何もかもを1人でなんとかする必要はないんだ。辛くて苦しくて、死にたくなったら、今みたいに泣き喚けばいいんだよ。受け止めてあげるから。泣いたら、少しはマシになるだろ?」

僕は頷いた。

……梨杜さんの隣に座って、ただ何も言わずに、時を過ごす。

僕は落ち着いてからずっと考えていたことを口に出した。

「……梨杜さん。さっきはなんであんなになっちゃったんでしょうか。」

危ない時はだいたい自分でわかる。

その理由も。

だけどさっきは、全く自覚がなかった。

自分は正常だと思っていた。

正気だと、思い込んでいた。

自分でも分からないうちに、壊れていた。

理由がわかれば、今後はもう少しマシになるかもしれない。

そう思って尋ねてみた。

「何で、か……。正確なことはわからないが、多分なにか1つがものすごく嫌で、ってわけじゃないと思う。」

梨杜さんは言葉を選ぶようにして続けた。

「誕生日会と、銃撃戦と、八神のことと……。いろんなストレスがかかった状態で、自分でも自覚してなかった嫌なことを言われた。それらが一気に溢れ出して、ああなったんだろう。」

「嫌なこと……?」

思い出してみるが、そんなことを言われた覚えはない。

一度言われたのに、まだ自覚出来てないって一体なんなんだ。

「『子供なんだから』って、言われたんだろう?」

「確かに……龍星さんに言われましたけど……。」

ピンと来なかった。

「蒼がな、言ってたんだ。」

そう言って、梨杜さんは僕が気絶した後のことを話してくれた。