いきたい僕ら

「はぁっ!はぁ……はぁ……。」

勢いよく体を起こす。

そこはよく知る孤児院の自室だった。

僕はベッドに寝かされていた。

外はすでに真っ暗で、時計を見ると11時を回っていた。

「ゆ、め……?」

周囲には誰もいない。

さっきの自宅と、今の自室。

どっちが現実のことかわからなかった。

だけどどっちでももう構わない。

……僕には、家族なんていなくなったから。

ただ、消えてしまったのか、消してしまったのかが違うだけで。

……ベッドから降りて、机の方へ向かう。

机の上には、一枚の紙が置いてあった。

『起きたら会議室においで』

梨杜さんの字で、そう書いてあった。

僕はその紙をくしゃりと握りつぶしてゴミ箱に捨て、代わりにカッターを手に取った。

椅子に座って刃を出し、左手首に当てる。

あとはこれを思い切り引けばいい。

「……」

たったそれだけなのに……。

「……無理だ。」

涙が止まらなかった。

「……できないよ……朝陽……。」

……こっちの僕は朝陽を縛り付けている。

「君を、裏切るなんて……」

朝陽より先に死んだら、朝陽との約束を破ることになる……。

「僕には、できない……」

辛くて、苦しくて、逃げ出したくて……でもできなくて。

どうしようもなくなって、僕は走り出していた。

会議室に行き、扉を開ける。

中には梨杜さんがいた。

僕は梨杜さんに飛びついて、泣いた。

「りつ……き?」

「ねぇ!僕はどうすればいいの?もう全部嫌だ!嫌なんだよ!何もかも……。辛いし、苦しいし!ほんとはずっと前から限界だった!でも……でも!朝陽のことは、裏切れない……。もう自分じゃどうしようもないんだ!ねえ助けて……どうすれば楽になれるの……?」

梨杜さんは黙って聞いててくれた。

母親が子供にするように、朝陽が僕にしてくれたように、頭を撫で、優しく肩を抱きしめて、ただ聞いてくれた。

「いっそのこと、殺してよ……。そうすれば何もかもから解放されるのに。なんで?なんで誰も、僕を撃ってくれないの?なんでみんな、僕を生かそうとするの?!疲れたよ……もう、僕には無理だ……。」

僕が泣き止むまで、そうしてくれていた。