いきたい僕ら

そして言われた通り、他の幹部たちがいる会議室に戻る。

扉をノックすると、すぐに返事があった。

扉を開けて、礼をとる。

「律樹です。戻りました。」

「おかえり。どうだっ……」

不自然に止まった梨杜さんの言葉を不思議に思って顔を上げる。

中の人たちは驚いた顔をしていたが、オッドアイの女性、羽澄さんだけは落ち着いた様子でつぶやいた。

「どうしたの?」

そう言われて自分の服を見る。

おそらくレンを運んだ時についたのだろう、ベッタリと大量の血がついていた。

「……あぁ、僕のじゃないです。」

そもそも彼らは血なんて見慣れてるはずだ。

なのに何でそんなに狼狽える必要があるのか。

「いや、そうじゃなくて……」

梨杜さんが言った。

そうじゃないってことは。

「レンのものでも、龍星さんのものでもないですよ。」

「そういうことじゃなくて!」

梨杜さんが僕の肩を乱暴に掴んだ。

その顔は泣きそうだった。

「君、何があったの?」

蒼さんだった。

「誰に、何を言われたの?」

質問の意味がわからなかった。

「何も……。あの、どうしたんですか?」

「もしかして、自覚ない?」

自覚ってなんの?

僕が訳がわからずに困惑していると、蒼さんは呆れたように口を開いた。

「……梨杜姉、彼、いつもこうなの?」

「いや、大体は自分でわかってる……。これじゃまるで……。」

いつもこう?

自分でわかる?

一体何を言ってるんだ。

「つまり、今日だけなんだね。」

蒼さんはゆっくりと僕に近づいてきた。

そして、拳銃を僕の眉間に当てた。

「蒼!?」

「ねぇ律樹くん。僕が引き金を引いたら、君死んじゃうんだけど、どうする?」

どうするって言われても……。

「蒼さんがそう判断されたなら、大人しく殺されます。抵抗もしません。どうぞ、一思いにやってください。でも絶対に外さないでください。」

僕は目線を逸らすことも、怯えることもしないで言った。

どっちかというと、撃ってくれるならありがたかった。

「そう……。」

蒼さんは銃をしまった。

「あの……」

「律樹くん、今、君は異常だ。普通どれだけ肝が据わった人間でも、いきなり銃を突きつけられたら多少は狼狽えるし、動揺する。梨杜姉みたいにね。……でも君は全く反応しなかった。」

それは……それならそれでいいと思ったから……。

「自分の危うさを自覚しろ!」

蒼さんが珍しく声を荒らげ、強い言葉を使った。

「……僕が言いたいのはそれだけ。あとは梨杜姉の仕事だ。だから少し寝な。」

そう言うと、蒼さんは僕の鳩尾に思いっきりパンチを入れた。

「ぅ……」

短い呻き声をあげて、倒れることしかできなかった。