いきたい僕ら

八神が行動を起こすとしたらどこに行く?

あの時たしか八神は、「本当は蓮斗で完成……」みたいなことを言ってた気がする。

僕の頭に、1つの仮説が浮かんだ。

「……梨杜さん、今レンには誰か付いてますか?」

もし、僕の想像が正しければ……。

血の気が引いていくのがわかった。

「いや、誰も。」

「っ!様子見てきます!」

僕は勢いよく椅子から立ち上がり、走り出した。

「あ、おい!待て!」

「俺が行く。」

後ろでそんな声が聞こえたが、関係なかった。

八神は何らかの実験にレンを使う気でいた。

1度目はそれが失敗に終わった。

でもなぜか、2度目のチャンスが巡ってきた。

なんでかは分からないけど、チャンスがやってきたんだ。

だから今回は確実にレンを使うために、先に確保しようとするんじゃないか?

さっきの襲撃も、レンを1人にするために行わせたものだったら?

実際、レンは1人で動こうとした。

レンの師匠だった八神なら、レンがそうしようとすることくらい、簡単に予測できるはずだ。

レンにこだわる理由はわからない。

もしかしたら単純に、自分の教え子に、「偉大な」実験の礎になって欲しいだけなのかもしれない。

自分でも突拍子のない想像だと思ってる。

でもあの現場を、あの狂った魔法陣を見たら、こんな狂った想像もあり得ると思えてしまうのだ。

医務室の扉を勢いよく開ける。

「レン!」

レンはまだ寝ていた。

もしかしたら起きたけど、気絶させられたのかもしれない。

……隣に真っ黒の衣装に身を包んだ、長身のニンゲンが居たから。