いきたい僕ら

敵の動きに細心の注意を払いながら電話を取る。

『よし、やっと繋がった。』

「梨杜さん、敵襲です。本部から西側約1.2キロ、森の中。人数はわかるだけで4人。今のところ……!」

再び聖藍さんの後ろが光り、僕は聖藍さんの腕を引っ張った。

聖藍さんは体勢を崩して、銃弾を避けることができた。

『律樹?』

「大丈夫です。怪我人は……」

明らかに聖藍さんが狙われている。

そう思っていたから、僕は自分に向けられた敵意への警戒を怠っていた。

「律樹さん!伏せて!」

「っ!!」

レンに言われて反射的に伏せた。

だけど間に合わなくて、腕を抉られた。

「ぐっ……」

「律樹さん!」

思わず携帯を落として、傷を押さえる。

「かすった、だけ……。だい、じょぶ……。」

撃たれたのは右腕。

利き腕だ。

……左で銃撃てるかな?

なんて考えていると、聖藍さんが器用に携帯を肩で挟み、服を引っ張ってきた。

そして、自分の服をちぎり、僕の腕にきつく巻き付ける。

「蒼、負傷者1名。救護班も頼む。」

「ありがとう、ございます……」

応急処置をしてもらい、落としていた携帯と拳銃を拾う。

「すみません。応援、お願いします。」

『もう向かってる。大丈夫か?』

「はい……。」

それだけ言って、電話を切る。

あとは聖藍さんが蒼さんに伝えるだろう。

いつの間にか聖藍さんはレンに拳銃を返していたようで、レンは敵がいるであろう方角に向かってそれを撃っていた。

拳銃を構え、レンが撃っていない方に向けて撃つ。

「っ……」

反動で腕が吹き飛びそうだった。

「律樹さん、大丈夫ですか?」

レンが視線を逸らすことなく聞いてくる。

「なんとか、って感じかな……。でも、堪えるよ。」

「了解です!」

さっきよりも敵の距離が近くなっているのがわかる。

人数が増えている様子はないから、最初から4人しかいなかったのだろう。

距離はすでにさっきの半分、30メートルを切っているようだった。

普段通りならこのくらいの距離なら滅多に外さないのに、利き腕を怪我しているからか、全然当たらない。

「くそっ……」

言うことを聞かない腕にイライラしてきた頃に、僕のでもレンのでも、敵のものでもない銃声が聞こえた。

2発、3発、4発鳴ったところでそれは止まり、自分たちに飛んでくる銃弾もなくなった。

緊張が解け、その場に座り込む。

抉られた腕が、いまさら痛んできた。

「っつ……」

思ったよりしっかり持ってかれてたようで、貧血でフラフラする。

耐えられずに、地面に倒れ込んだ。

「律樹さん!?」

「ごめ……ちょっと、疲れた……だ、け……。」

それが限界だった。