いきたい僕ら

「律樹さん、俺、ちょっと近づいて様子見てきます。」

レンが何の変化もない敵の様子を見かねてそう言った。

少し考える。

そして僕は聖藍さんに声をかけた。

「ちょっと待って。聖藍さん、どう思います?」

聖藍さんも清部会の一員だ。

前線に出ないとはいっても戦場を知らないわけじゃないだろう。

それに戦況を正確に見分けないといけないこの状況では、後方支援の聖藍さんは本業だ。

聖藍さんは少しも考えることなく言った。

「最悪だと思うよ。君は4人だって言ったけど、もっといるかもしれない。本部との連絡も取れない。相手の動きも読めない。正直お手上げだ。」

おおかた僕の考えていたことと同じか。

「それに、こういう状況では特にそうだけど、1人で行動するのは得策ではない。」

これはレンに向けて言った。

「だから3人で動くか、敵のいる方向はわかるんだよね?」

聖藍さんの言葉に僕は頷く。

大体だけど、4人の居場所はわかっている。

だからこそこんなに悠長にできているんだけど……。

僕が頷いたのを見て、聖藍さんは続けた。

「その方向に1発、撃ち込んでみるのはあり。」

その顔はニヤリと、悪い笑顔だった。

「……冗談ですよね?」

ここから1番近い敵まで、おそらく60メートルはある。

今手元にあるチャチな拳銃では、飛ばすことはできても当たることはないだろう。

「当てなくてもいいんだよ。ただ俺たちに居場所がバレてることが伝わればいいんだ。向こうが動かない以上、こっちから何かアクションを起こした方がいい。」

分からなくはない……。

「……わかりました。やってみます。」

僕はそう答えて、拳銃を構えた。

あえて撃ってきた奴じゃない方に向けて。

拳銃での遠距離射撃なんてやったことないけどそんなこと言ってられない。

集中!

僕が拳銃を1発打ち込むと、何かが弾ける音が聞こえた。

木に当たった音ではない。

すると圏外だったはずの携帯から着信音が鳴った。

それは聖藍さんの方も同じで、どうやら妨害電波の発生装置を壊したようだ。