いきたい僕ら

完全に油断してた。

「聖藍さん、失礼ですが実践経験は?」

低く伏せながら聞く。

清部会のほとんどの構成員は、拳銃の扱い方と護身術の指導を受ける。

だから使い方は知ってるはずだ。

でもそれを実践したことがあるかはまた別。

練習と本番は全く違うものなのだ。

付き人がどういう扱いかわからないけど、前線に立つことはないんじゃないか?

……僕の予想は正しかった。

「すまない。後方支援が主で、自信がない。」

話を聞きながら作戦を考える。

「……わかりました。レン、銃は聖藍さんに。レンはナイフで戦って。」

そのまま2人に指示を出す。

「はい。」

レンは聖藍さんに拳銃を手渡し、ナイフを取り出した。

「使い方はわかりますね?ここで迎え撃ちます。危ないと思ったら迷わず撃ってください。それと、本部に連絡を取れますか?」

聖藍さんに聞くと同時に、自分でも携帯を操作する。

電話帳を開き、梨杜さんに電話を入れた。

……。

「ちっ……。」

会議で気づいていないのか、全然繋がらない。

聖藍さんの方も同じなのか、焦ったような顔をしていた。

「ダメだ、繋がらない……。」

改めて携帯を確認する。

「圏外……?」

「妨害電波かも。」

僕の呟きに聖藍さんが返した。

……1つ、深呼吸をする。

焦ってもしょうがない。

状況を整理しよう。

敵は最初の1発以外は撃ってきていない。

僕たちを見失った、なんてことはないだろう。

止まっていたとはいえ、視界の悪いこの森の中で、あれだけ正確な射撃をしてきたのだ。

そう簡単に撒けるとは思っていない。

そもそも僕たち動いてないし。

だとしたら何で撃ってこない?

撃てない事情があるのか、それとも撃つ必要がないのか……。

もしくは待っている……?

それにしては敵が増えている様子はない。