いきたい僕ら

しばらくそうしていると、律樹はそのまま眠ってしまった。

俺の片膝を枕にして眠るその顔は、緩みきっていて、とても可愛かったのを覚えている。

楽しい時間はあっという間で、律樹が眠ってから大して時間もかからないうちに母親たちから声がかかった。

「朝陽ー帰るよー。」

「律樹ー片付けー!」

俺はあわてて2人の方を向いて口元で人差し指を立てて「しー」、とやった。

せっかく気持ちよさそうに寝てるのに、無理矢理起こすのはかわいそうだから。

それで通じたのか、母親たちは入り口付近で小声で会話しながら待ってくれた。

代わりに俺は、律樹の頭を膝から下ろして片付けを始めた。

そうしていると、律樹は起きたようで、目をこすりながらあくびをしていた。

「朝陽……?」

俺が少し離れた場所にいると気づくと、とてとてと近づいてきて、また抱きつかれた。

「律樹、帰るって。」

頭を撫でながら声をかけると律樹は頷いた。

でも離れてはくれない。

「律樹……歩きにくいから、離れて?」

そう言うと渋々といった感じで離れてくれた。

ただ、めちゃくちゃ悲しそう。

うっ……罪悪感……。

だから俺は、手を出した。

「手、繋ごっか。」

そう言えば、律樹の顔は途端に明るくなり、俺の腕にくっついてきた。

それはそれで歩きにくいけど……まぁいいか。

嬉しそうな律樹に強く出れない俺だった。

……このときから、俺たちの全てが始まった。