いきたい僕ら

「ほら2人とも、とりあえず中入りな。扉閉めとかないと余計なやつまで乱入してくる。」

「梨杜姉、余計なやつって僕?」

梨杜さんが言った瞬間、部屋の奥から声が聞こえた。

「ちっ……遅かったか……。」

そこには蒼さんがいた。

僕たちは入り口に立っていたのに入ってきたことに全く気づかなかった。

蒼さんはソファに腰掛けてお茶を飲んでいた。

完全に手遅れだったが、僕たちは部屋の扉を閉め、何事もなかったかのように振る舞った。

「レン、これ誕生日プレゼント。どうぞ。」

「うわー、律樹さん、ありがとうございます。開けてもいいですか?」

「君たち分かりやすく無視しないで!?」

本来、幹部相手にこんな対応はどうかと思うけど、今回は別にいいだろう。

「はぁ……蒼さん、こんなこと言うのはちょっと悪いとは思うんですけど、仕事はいいんですか?今忙しいんですよね?」

「いいぞ、律樹。もっと言ってやれ。」

清部会では毎年6月末と12月末の2回、決算がある。

僕やレンみたいな下っ端には関係ないけど、梨杜さんや蒼さんみたいな幹部にとっては、今後のことを考えなければいけない、大事な会議だ。

当然今までの報告もあるからそれなりの準備もいる。

今は6月の半ば。

梨杜さんは仕事を溜めないタイプだからいいだろう。

でも蒼さんは今までの様子を見るに、ギリギリまで溜めておくタイプだ。

それなのにこんなところに来ていて大丈夫なのか……。

「ああ、仕事なら大丈夫だよ。」

蒼さんはクッキーをつまみながら言う。

「このあと、徹夜でやるから。」

「……今すぐやって来い!徹夜なんてするんじゃない!」

梨杜さんは怒りながらそう言って、蒼さんを部屋の外に放り出してしまった。

「……いいんですか?」

こうなる原因を作ったのは僕ではあるけど、あそこまで雑に放り出されるのを見ると申し訳なくなる。

「いいよ、蒼は。ああでもしないとほんとに徹夜してひどい顔で会議出てくるんだから。」

梨杜さんは呆れてるのか、心配してるのか、よくわからない表情で言った。