いきたい僕ら

……それから半年以上経った。

レンの新人教育期間も終わり、僕とレンは正式にペアになって活動することになった。

相変わらず孤児院の部屋は同じだ。

僕が14、レンが12だから、まだ孤児院を出ることはできない。

来年になったら僕は自分で部屋を借りれるようになるから、孤児院を出ることになる。

そのときは確実に一人暮らしだ。

無理ならうちに来ればいいって、梨杜さんは言っていたけど、そこまで迷惑はかけれない。

ふと、携帯がなっているのに気付いて布団から起き上がった。

時刻は真昼だが、昨日……いや今日の朝までずっと仕事だったからとりあえず布団に入って目を閉じていた。

全然眠れなかったけど。

携帯を手に取り、電話に出る。

「もしもし……おはようございます。」

自分でもびっくりするほど気の抜けた声だった。

全然おはようの時間じゃないけど、許して欲しい。

寝てはいないけど、頭の中はおやすみモードみたいだ。

『おはよう律樹。今朝はお疲れ様。』

聞こえてきたのは梨杜さんの声だった。

電話越しなのに、笑っているのがよく分かった。

「あ、梨杜さん。お疲れ様です……。」

『ごめんね、休んでたところに。今律樹1人?』

言われて隣の布団を見る。

そこではレンがぐっすりと寝ていた。

「隣でレンが寝てますよ。」

『そうか……。ちょっと蓮斗に聞かれない場所まで移動してくれないか?』

「え?いいですけど……。」

不思議に思いながらも、僕は言われた通り部屋を出た。

そして孤児院の裏手にある用具倉庫の中に入る。

ここなら他の子供や孤児院の先生、ましてやレンに聞かれるなんてことはないだろう。

多少大声を出してもバレないし。

「移動しました。」

一応誰も近くにいないことを確認して、梨杜さんに伝える。

『ありがとう。それで早速なんだけど、律樹、仕事だ。』

梨杜さんの声色が変わる。

いつも以上に真剣な声だ。

僕も自然と背筋が伸びた。

仕事の話なのに、レンから離れさせたということは、レン関係の何かだろう。

頭の中に半年前のことが浮かぶ。

あのあとレンは1週間くらい、ずっと元気がなかった。

またあれと同じようなことが起きるのか、と僕は珍しく緊張していた。

「なんでしょう。」

『実は……』

……言われた内容は、確かにレンが関係していた。

それどころか、レンのことだった。

僕は電話を切って声を張り上げた。

「紛らわしいことするんじゃねえー!!」