いきたい僕ら

いつからいたのかは知らないが、レンの様子を見るに話は全部聞いていたんだろう。

知られたくないことを、いくつも喋ってしまった。

「レン、僕は……」

「なんで言ってくれなかったんですか?」

レンが僕を責めるように言う。

「威織さんのこともそうなんですけど、なんで律樹さん、強がったんですか?」

「え……?」

強がるって……どういうこと?

「ご家族のこと、慣れたなんて嘘じゃないですか。1番じゃなくたって、十分大事なのに……。ほんとは嫌だったんですよね?悲しかったんですよね?!家族馬鹿にされたような気がして……。」

「……」

「おかしいと思ってたんですよ。興味ないふりして話しながら表情は今にも壊れそうだったんだから。あのとき俺は、そうやって平気な顔して心に嘘をつき続ける律樹さんが怖かった!」

最後の方は目に涙を溜めて訴えてきた。

「律樹さん、梨杜さんだけじゃなくて、俺の前でも嘘つかないでよ……。」

「……!レン……」

そしてついに泣き出してしまった。

レンが泣いたところなんて、初めて見た。

どうしたらいいかわからなくて梨杜さんを見るが、見てるだけで助けてはくれなそうだ。

僕は、レンに近づき頭を撫でた。

なんでそうしたのかはわからないけど、ただひたすらに頭を撫で続けた。

……レンが泣き止んだ頃、僕は声をかけた。

「……レン。僕は強がってるわけでも、嘘をついているわけでもないよ。」

この期に及んで、僕はまた嘘をついた。

レンが言ったことは全て事実だ。

自分でもわかっている。

平気なふりして、何もなかった顔して、嫌なことや辛いことに蓋をして。

そうやって生活していたことは僕が1番よくわかっている。

だからレンが言ったことにすぐに言い返せなかった。

でも、それを自分でわかっていたってどうすることもできない。

僕に与えられた選択肢は、「すべてを無かったことにして生きること」か、「親友を裏切って死ぬこと」だったから。

「だから、レン。ごめんね。」

レンは一度目を見開き、そして目を伏せて言った。

「……そうですか。」

……しばらくの沈黙ののち、パチンと梨杜さんが手を叩いた。

「はい!しみったれた空気は終わり。2人とも、本部戻るよ。」

梨杜さんに言われ、僕たちは倉庫をあとにした。

……そのあとの調査で、「イーグルサイト」は八神威織がたった1人で運営していた組織だったことが分かった。

その八神が死んだため、「イーグルサイト」なんていう組織は無くなった。

あの倉庫の中の子供達の遺体は家族のもとに返され、八神の遺体も元あった場所に戻された。

こうして「イーグルサイト」の事件は幕を閉じた。

……はずだった。