いきたい僕ら

ぐるりと部屋を見回す。

そんなに広くないし、埃っぽくてそれほど綺麗だとは言えない。

それと、やけに静かだ。

まるで他に組織の人間がいないんじゃないかと錯覚するほど、何の物音もしなかった。

「お待たせしました。案内いたします。」

扉から半身を出して、神威が言った。

「分かりました。」

神威に付いて、倉庫の中を見てまわる。

応接室と同じように埃っぽくて、静かだ。

ひとつずつの部屋を見せてもらうが、特に変なところはない。

せいぜい理科の実験で使うようなビーカーや薬品が置いてあるくらいで、危ない実験をしている様子もない。

でも、やっぱり変だ。

「……あの、今日他の人はいないんですか?」

音がしないのは当たり前だった。

今まで3つほどの部屋を見せてもらったが、どこも誰1人おらず、廊下でも人を見ていない。

これだけの規模の施設だ。

たった1人の見学者のために、研究を全面停止するか?

「今日は休業日です。毎週日曜日は完全に休みにして、職員の健康管理をしてもらっているんです。」

言い淀むことなく答える。

まるで用意していたみたいだ。

「それよりも、次で最後の部屋になります。」

神威はそう言って、部屋の扉を開けた。

さっきまでは横スライドの引き戸だったのに、ここだけは開き扉だった。

開いた瞬間、中からむせかえるような鉄臭さが出てきた。

「どうぞ、お入りください。」

若干の嫌悪感と不快感を抱きながも、言われた通り、部屋の中へ入る。

そこは電気はついているのに、足元もおぼつかないほど薄暗かった。