いきたい僕ら

……本部の裏手、森の中の開けた空間には既に1人の人間がいた。

「イーグルサイト」首領補佐の神威。

前回と全く変わらず、黒い服で、顔が見えないほど深くフードを被っていた。

「お待たせしました。」

僕は目の前の人間が、本当は誰なのか知っている。

まだ可能性の話ではあるけど、確率はかなり高いだろう。

だけどそれを悟られたら終わりだ。

「おや、お1人ですか?」

感情のない、無機質な声。

果たしてこの人は元からこうなのか、それとも違うのか……。

「1人ですね。もう1人はちょっと風邪ひいてしまって……。見てわかる通り、マイクもカメラもつけてないし、付けてる人もいないですよ。」

演技は得意じゃない。

だけど仮面を被ることならできる。

まぁ、この世界じゃ常識だけど。

神威の反応はない。

何かを考えるように顎に手を当て、首を捻っている。

「……ほう?約束は守っていただけたようですね。」

そしてそう言った。

何を考えているのか、さっぱりわからない。

「では行きましょう。ここから歩いて30分ほどです。足元がかなり悪いのでお気をつけください。」

「配慮、ありがとうございます。」

僕は歩き出す神威について行った。

神威が言ったように、足元は木の根が出っ張っていてかなり歩きにくかった。

30分弱歩き、1つの倉庫の前にやってきた。

どうやら廃倉庫が集まっている区域で、目的の場所は中でも1番大きい倉庫のようだ。

「ここになります。」

見た目は普通のプレハブ倉庫だ。

周りにも怪しい建物は見えない。

そのまま倉庫の中まで案内された。

ひとまず入り口付近にある応接室的なところに通され、ソファで待たされる。

神威はどこかに行ってしまった。