いきたい僕ら

……それからしばらく、蒼さんの部屋の前で粘ったが、一向に出てきてくれる様子はなかった。

仕方なく1人で梨杜さんの部屋に行く。

扉をノックし、返事を確認してから扉を開けた。

「梨杜さん、行ってきました……。」

「ああ、律樹。おかえり。……なんか疲れた顔してるね?」

パソコンの前で、ニヤニヤしながら梨杜さんは言ってきた。

絶対何があったか知ってる顔だ。

「律樹さん、何かあったんですか?」

レンが純粋に心配してくれてる。

でもごめん。

僕は今、君のことでものすごく疲れてるんだ。

「はぁ……レン、悪く思わないでね!」

僕は素早くレンの背後にまわり、隠し持っていた注射器をレンの首に刺した。

ここに来る途中で倉庫からもらってきたものだ。

中には睡眠薬が入っている。

レンは毒を扱うことがある関係で僕より薬物耐性が高いから、ちょっと強めの薬だ。

レンは驚いた顔をしたが、抵抗することもなく眠ってしまった。

「へぇ、律樹がそこまでするとはね。ちょっと意外。」

梨杜さんが言った。

「今、レンを1人にするわけにはいかないので。目の届くところにいてもらった方が安心できます。」

レンをソファに寝かせながら言った。

自分の知らないところで八神に接触されて、手遅れになるくらいなら、僕が近くで守った方がいい。

それに、スパイが八神だけとは限らない。

本部の中に既にいる可能性だってあるのだ。

僕なりに考えた結果だ。

「というわけで、多分明日、僕が出てった後くらいまで寝てると思うので、起きたら子守お願いします。」

連れて行けない、理由も話せない。

だったら無理矢理置いていくしかない。

梨杜さんはめんどくさそうな顔をしたが、最終的には了承してくれた。

「はぁ、しょうがないね。代わりに仕事増やしとくよ。」

「えー、勘弁してください……。」

「……今日は泊まってきな。」

梨杜さんが言った。

なんだかんだ言うけど、やっぱり梨杜さんは優しい。

「……ありがとうございます。」

1人で寝るのは……まだ怖かった。

……僕はレンが寝ていない方のソファを借りて、休むことにした。