いきたい僕ら

梨杜さんの主な仕事は、情報収集だ。

でもそれだけじゃなく、組織内から出た裏切り者の粛清も請け負っている。

梨杜さんが居場所を突き止め、僕たち実働部隊がそれの始末をする。

僕がそれなりの役職なのに、組織の人間に知られていないのはそれが理由だ。

始末屋の正体がバレて、先に始末されたら元も子もないからね。

「……それで、その八神だとして、どうしてレンを行かせられない理由になるんですか?」

どちらかというと、裏切り者が関わってるなら行かなきゃいけないような気がするけど……。

「八神は暗器のプロだって言ったでしょ?彼、蓮斗くんの師匠なんだよ。」

蒼さんの声は、落ち着いていた。

でもその目は怒りに燃えていた。

僕はその目が恐ろしいと思いながらも、蒼さんに言った。

「……レンの師匠は死んだはずです。それでまだ未熟なレンの教育係として僕がつけられたんだから。」

「そう、死んだはずだったんだ。8ヶ月前に、敵に心臓を撃ち抜かれて。僕は死体までちゃんと確認したよ。」

「なら……。」

「状況がそうとしか考えられないんだ。世界にはごまんといるだろうけど、この地域に190を超えるような巨人なんて限られている。それに中性的な声と、組織でも一部の人しか知らない訓練場を知っていること。おまけに八神のお墓を見に行ったら荒らされた跡まであったよ。」

淡々と、蒼さんは話す。

「これだけのものが揃えば、十分考えるに値する。」

少し考えて、僕は言った。

「……わかりました。つまりレンが利用されないように、なるべくそいつと会わせたくない、ということですね?」

僕がそう言うと蒼さんは優しく微笑んだ。

「理解が早くて助かるよ。」

レンは師匠に懐いていた。

最初の時は気づかなかったけど、次気づかない保証はない。

向こうから何か仕掛けてくる可能性も否定できない。

あらゆる可能性を考慮して出てきた最善の方法が、「会わせない」こと、だったのか。

これをレンに言わなかったのは、レンが冷静でいられなくなるから。

理由を話して来るなって言っても、間違いなくあいつはついてこようとする。

むしろ率先して調べようとするだろう。

そんなことになれば余計に危ない。

それほど、レンと師匠の信頼関係は深いものだった。