いきたい僕ら

……2時間ほどを電車の中で過ごし、やっと目的の駅に着いた時には体が凝り固まっていた。

「あぁ〜、やっと着いた〜。」

伸びをしながらレンが言う。

僕もストレッチをしながら、周囲の景色を見渡した。

「ていうか律樹さん。こんなところまで来てから言うことじゃないと思うんですけど、俺たち、どこに向かってるんですか?」

バスに乗り換えるため、バス停に向かう途中でレンが言った。

「そういえば、言ってなかったね。」

歩きながら続ける。

「……僕の家族のところ。」

「家族?生きてるんですか?」

容赦のない質問に苦笑いが出る。

「生きてたらこんなことやってないよ。命日なんだ、今日。」

空を見上げて、言った。

あの日となにも変わらない、綺麗な青空のはずなのに、どこかくすんだ色に見えた。

それはきっと、ここに家族がいないからでも、隣が朝陽じゃないからでもなく、僕の心が汚れてるってことなんだろう。

「そうなんですね……。」

それ以上、レンが何かを聞いてくることはなかった。

2人でバスに乗る。

バスは電車ほど混んでいなくて、すぐに座ることができた。

20分ほどバスに揺られ、降りた後、途中で花を買いながら10分ほど歩いて、目的地に着いたのは午後2時過ぎだった。

「レン、ここで待ってて。」

霊園の入り口で僕は言った。

「大丈夫ですか?」

「……多分。」

入り口にレンを待たせて、僕は中に入った。

霊園を回り、相火家の墓を探す。

それはすぐに見つかった。

最後にやってきたのは納骨の時だというのに、やけに綺麗に掃除されてて、まだ真新しい花が供えてあった。

「あ……ありがとう……」

この様子だと、毎年やってくれていたのだろう。

そんなことをしてくれる物好きを、僕は1人しか知らない。

泣きそうになるのを堪えて、お人好しの彼に、お礼を言った。

忘れられていない、という事実が、嬉しかった。

自分でも軽く掃除をし、買ってきた花と家族それぞれの好物を供え、手を合わせる。

願わくば向こうで平穏に暮らせますように。

僕はみんなと同じところには行けないけど、いつか会うことができたら、またたくさん話そう。