いきたい僕ら

「お待ちしておりました。『イーグルサイト』の方で間違いないですか?」

やってきたのは僕たちと同じく、全身真っ黒の服に身を包んだ身長190センチほどの巨人だった。

唯一違うのは、相手はフードを深く被ってて、顔はおろか、男か女かもわからないことだ。

これだけの身長があったら男だと思うけど……。

「いかにも。私は『イーグルサイト』の首領補佐、神威といいます。以後お見知り置きを。」

そう言ってやけに丁寧なお辞儀をした。

その仕草は、とても10代のものとは思えなかった。

10代の若者が中心ってだけで、それ以外の者もそりゃいるか。

声は中性的で、特に特徴もなかった。

レンの言った通り、いきなり襲いかかってくることはなさそうだ。

でも……。

「首領は本日、別の用があるため来ておりません。」

捉えどころがない奴だ。

感情が全く読み取れない。

まるで、ロボットと会話しているみたいだった。

「分かりました。僕たちは清部会の構成員です。訳あって名前は明かせません。」

清部会では、一部の幹部のような人を除いて、仕事中に名前を明かさない。

個人情報の保護、組織の情報の保護のためだ。

「つまり、私たちは幹部や会長が出てくるほどではない、と判断されたということですか。」

大袈裟に肩をすくめて言われた。

こっちが名乗ることの意味を知っているのか。

情報網は馬鹿にできない、そう思っておいた方が良さそうだ。

「こんな子供では信用ありませんか?それとも……あなたたち如きにうちのトップたちが出てくるとでも?」

少し煽って出方を伺う。

この程度で怒るようなら、「イーグルサイト」も大した組織ではないだろう。

「いやいや、そんなこと思ってませんよ。」

……やりにくい。

少しも声色が変わらなかった。

「それで、要件はなんでしょうか。」

舌打ちしたいのを我慢して、話を進める。

「はい。私たちはあなた方に、お願いをしに来ました。」

「お願い……?聞くだけ聞きましょう。」

どんな内容を言われても、僕たちには判断できない。

それに、向こうから情報をくれるなら貰っておいた方がいいだろう。

こっちには「イーグルサイト」の情報は皆無に等しいんだから。

「感謝します。……私たちは今、とある実験をしています。内容は伏せさせていただきますが、この実験が成功したら、科学は大きく進歩するでしょう。あなた方には、そのサポートをしていただきたいのです。」

怪しい内容しかないな……。

格好が怪しい上に、言ってる内容も怪しいって、本人気づいてるのかな?

……それはおいといて、サポートをするにしてもしないにしても、情報が少ない。

「具体的には何をすれば?」

ある程度突っ込んだ質問もしていかないといけないが、機嫌を損ねるのは得策ではない。

この感じからすると、相当頭が回る奴だ。

そういう奴ほど敵に回すのは避けたい、梨杜さんは前にそう言っていた。