いきたい僕ら

本部は市街地を抜け、森を抜け、ネオン街を抜けた先のビル群の中の1つだ。

どのビルも似たような見た目をしているから、最初に来たときは迷ったもんだ。

でももう何度も来ているから、さすがに慣れた。

迷うことなくビルに入り、受付に向かった。

「律樹と蓮斗です。梨杜さんに呼ばれてやってきました。」

受付にそう告げれば、カタカタとパソコンを操作し、すぐに梨杜さんに連絡をとってくれた。

数分もしないうちに、梨杜さんはやってきた。

「律樹に蓮斗、久しぶり。2人ともちょっと大きくなった?」

梨杜さんは「お姉さん」というよりは、「姉御」という言葉がよく似合う人だ。

1番の古株なだけあって、その貫禄は他の人とは一味違う。

でも怖い人ってわけではなく、面倒見は非常にいい。

噂によれば、僕たちよりも少し年上くらいの息子がいるとかなんとか……。

「たいして変わってないですよ。それよりも、僕ら2人に用事ってなんですか?」

「まぁまぁ、そう急ぐな。とりあえず私の執務室に行こう。話はそこでまとめて。」

僕たちが返事をする前に、梨杜さんはエレベーターの方へ向かった。

僕たちも慌てて追いかけ、同じエレベーターに乗る。

どうせ執務室に行くならいちいち降りてこなくてもいいのに、梨杜さんは毎回1階まで迎えにきてくれる。

前に1度、言ったことがある。

「梨杜さんが降りてこなくても、直接執務室に向かいますよ?」、と。

でも梨杜さんは「呼んでるのはこっちなのに、それだと嫌な上司だろ?私はそうはなりたくないんだ。」と答えた。

本人がそれでいいならいいかと、それ以来は言っていないが申し訳ないことに変わりはない。

エレベーターはすぐに止まり、梨杜さんの執務室へとやってきた。

部屋の中には、1人の青年がいた。

彼は来客用のソファに腰掛け、テーブルの上のお菓子を摘んでいる。

家主よりも家主をしていないか……?

少年と言って差し支えないほど幼い顔立ちをしている彼だが、僕たちより年上で、れっきとしたこの清部会の幹部の1人だ。

「あ、梨杜姉、おかえり。その子たちは?」

「蒼、勝手に入るなと何回言わせる気だ。今から大事な話をするから出てけ。」

質問には答えず、呆れたように、梨杜さんは言う。

そのやり取りだけで、これがよくあることなのだとわかった。

「その大事な話って、間接的に僕も関わってるよね?じゃあ聞いててもよくない?」

どうやら蒼さんは話の内容が分かっているらしい。

一切引く気のない蒼さんの言葉に、梨杜さんは諦めたようにため息をつきながら話し始めた。

「はぁ……。じゃあそこに座ってていいから、余計なことは言うなよ?2人も、そこ座って。」

梨杜さんに言われた通り、蒼さんの向かいのソファに腰掛けた。