いきたい僕ら

……誰かに呼ばれている気がして、目を覚ました。

「朝陽……」

俺はベッドに体を預けるようにして寝ていた。

「律樹……」

ベッドの上の律樹は、ちゃんと目を開けて、自力で起き上がって、俺の名前を呼んでいた。

その顔は全てに絶望しているようだった。

「……律樹、大丈夫か?」

絶対大丈夫じゃないのに、そう聞くことしかできない自分が不甲斐なかった。

「……多分。」

……多分、体は大丈夫。

だけど、心は大丈夫じゃない。

そう、言いたいんだろう。

当たり前だ。

律樹の家は、家族仲が良かった。

俺とは違って本物の家族だし、なにより、外に友達の少なかった律樹にとって、家族は大きな心の拠り所だっただろう。

それが一気に無くなった。

今の律樹には、俺しか残されていない。

俺しか、心の拠り所となり得る存在がいない。

でもなんだ?この律樹の落ち着きようは。

ただ単にまだ受け入れられなくて、現実味が薄いだけなら、それでいい。

いやよくはないけど、まだ安心できる落ち着きかただ。

だけどどうにもそうじゃない気がした。

「……なぁ律樹。今思ってること、全部話してごらん?俺が受け止めてあげるから。」

頭を撫でながらそう言うと、律樹はゆっくりと話し始めた。

「……あのね、僕が、殺した。」

「は……?律樹、何言って……」

「僕のせいで、みんな死んじゃったよぉ……」

泣きながら、俺に抱きついてきた。

俺は何をすることもできなかった。

律樹が何を言っているのか、理解できなかった。

律樹は嗚咽を堪えながら、話を続けた。

「あのね……誕生日で、きのう、誕生日で……僕が、遊園地、行きたいって、言ったから……。それで……」

「っ……!」

……理解できた。

……つまり、律樹が遊園地に行こうって言って、向かってたら事故にあった、ってことだ。

俺は律樹を抱きしめた。

強く、強く抱きしめて、優しく頭を撫でてやった。

「……朝陽!僕の……!僕のせいで!誰もいなくなっちゃったよぉ……!」

「……律樹のせいじゃないよ。」

律樹は声をあげて泣き出した。

「なんで……僕だけ、置いてったの……?!やだよぉ!いっしょに……いきたかったぁ……!」

泣きながら話す律樹に、かける言葉が見つからなかった。

ただ頭を撫でることしかできなかった。

しばらくそうしていれば、次第に泣き声はおさまってくる。

でもそれに反比例して、律樹の呼吸は荒くなる一方だった。