いきたい僕ら

……僕は何もない場所にいた。

色のない、音のない、感覚のない場所。

人って死ぬとこんなところに来るんだ。

と、ぼんやりする頭で考えた。

あてもなく彷徨い歩く。

感覚がないから、本当に歩いているのかは分からないけど、歩いているつもりだった。

ただ、どこにいけば朝陽に会えるのか、それを知りたいと思っていた。

ふと、向こうのほうに人影が見えた。

僕はそれを目指して歩く。

でもどれだけ進んでも、人影との距離が縮まることはなかった。

僕は諦めて別の方向へ進んだ。

なんとなく、こっちだと思ったから。

すると人影は焦ったようにまた僕の視界に入ってきて、自分を追いかけるように言う。

本当に言ってるのが聞こえてるわけじゃない。

なんとなく、そう思うだけだ。

僕は仕方なく人影の指示に従った。

歩いて、時々走って、また歩いて……。

そんなことを繰り返していると、徐々に人影に近づき、その輪郭がはっきりとしてきた。

「朝陽……?」

それは朝陽だった。

僕は走って近づこうとしたが、一定の距離から詰めることができなくなった。

僕らを隔てる透明な壁が、そこにはあった。

すぐ近くにいるのに、触れることができない。

それがなんとももどかしかった。

「朝陽!」

『……なんで、ここにいるんだよ……!』

朝陽の声が聞こえた。

耳からじゃなく、頭に直接響くような声。

その声は怒っているようだった。

『律樹はまだ来なくていいだろ!』

いや、泣いているようだった。

『帰れよ……!こんなところに来てんじゃねえよ!!』

「朝陽……?」

涙が溢れてきた。

初めて朝陽に拒絶された。

『お前にはいるんだろ?!』

何が?

僕には朝陽しかいないのに。

『お前の……律樹のことを本気で思ってくれる人が、いるんだろ?!』

朝陽がそう言った瞬間、僕と朝陽を隔てる壁に映像が映し出された。