いきたい僕ら

角を曲がったところに、律樹さんがいた。

頭から血を流し、ピクリとも動かないで横たわっていた。

『蓮斗?何があったんだ?』

「ぃ…嫌、だ……」

携帯を取り落とし、のろのろと律樹さんに近づいて、その肩を揺すろうとする。

でも、その手を誰かに掴まれて、無理矢理律樹さんから引き離された。

「おい!触っちゃいけない!無理に動かすと助からないぞ!」

「っ!離せよ!」

掴んできたのは男性の看護師だった。

俺は暴れたが、鍛えているとはいえ子供の体では、大人の力には敵わなかった。

男性看護師に引きずられ、彼は俺の携帯を手に取った。

通話はまだ繋がったままらしく、彼はそれを耳に当てて話し出した。

「もしもし、私看護師の秋山といいます。この子達の保護者で間違いないですか?」

何か言っているが、それよりも俺は拘束から逃れようと必死だった。

「くっ、離せ!嫌だ……律樹さんが、離せよ!!」

いくらもがいても緩む気配は全くなかった。

「律樹くんは!」

「っ!」

ずっと小声で話していた看護師がいきなり大声を出した。

俺はその声と、その言葉にびっくりして動きを止めた。

看護師は俺の方を見て、ゆっくりと言い聞かせるように話した。

「律樹くんは、意識はありません。でも息はしています。君がすぐに来てくれたから、助かるかもしれない。蓮斗くん、よく頑張った。君のおかげだ。」

「は……あぁ、よか、たぁ……。」

安心した途端、体の力が抜けた。

看護師の人に抱えられてたから倒れ込むことはなかったけど、自分の足で立つことはできなかった。

「よかったぁ……ほんとうに、死んじゃうかと……思って、怖かったよぉ……。」

『よくやった、蓮斗。』

泣きながら言った言葉に返事をしたのは梨杜さんだった。

その優しい声色に、余計に涙が溢れてきた。