いきたい僕ら

僕たちは何人もの人間を殺し、何人もの人間の死を味わってきた。

だから人の命なんて、そこらの虫と同じように簡単になくなることを知っている。

なんの前触れもなく、唐突に。

でも朝陽はそうじゃない。

日陰にやってきた僕たちと違って、日向で過ごしている朝陽にとって、死ぬことは簡単じゃない。

むしろ朝陽の生活からは、最も遠い場所にあるはずなんだ。

それになにより僕が知る朝陽には理由がない。

死ぬ理由も、殺される理由も。

ニュースでは無差別殺人なんてものがあるが、あれだってそうそうあるものじゃない。

だから、きっと朝陽は死なない。

「……わかり、ました。2時間です。2時間たったら、戻ってきます……。」

「ありがとう。」

レンは食器を持って部屋を出て行った。

また、1人になった。

2時間だけだけど、誰の目も気にしなくてよくなった。

僕は泣いた。

途中で吐きそうになりながら、息苦しさを覚えながら。

ただ、泣いて、泣いて、泣いて……。

自分の中にある「最悪」を洗い流すように。

全てを忘れて、無かったことにできるように……。

これしか、嫌なことを忘れる方法を知らなかった。

……どれだけ時間が経っただろうか。

10分か、20分か、はたまた1時間か……。

やがて涙も枯れ、気持ちも多少は楽になった。

立ち上がり、鏡を見に行く。

「……はは、ひどい顔……」

目は赤く充血し、頬には涙と布団の跡がついていた。

軽く洗い、もう1度鏡を見る。

さっきよりはマシな顔になっていた。

……布団に戻り、静かな空間が嫌で、なんとなくテレビをつけてみた。

思えばそれが間違いだった。