いきたい僕ら

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「律樹さん!!!」

「っ!」

誰かの声で現実に引き戻された。

伸ばした手は、誰かの手を握っていた。

部屋は暗く、月明かりだけが薄く輝いていた。

それをバックに僕の方を見る人影があった。

「ああ、よかった。起きたみたいですね。」

「あさ、ひ……?」

そう思った瞬間、夢の内容がフラッシュバックして、僕はその人に泣きながら縋り付いていた。

「朝陽!行かないで!」

「は、え?律樹さん?」

困惑の声も、僕の耳には届いていなかった。

自分のことだけで精一杯になっていた。

「ダメだよ。ダメなんだよ!僕は、まだ……」

朝陽がここにいるわけがないことなんて、少し考えれば分かるはずなのに、そんな余裕もなかった。

「律樹さん、少し落ち着いて……」

また置いてかれるのが、ただただ、怖かった。

「置いてかないで!1人にしないでよ、朝陽がいな……」

「律樹!」

「っ……!」

乱暴に肩を掴まれ、引き剥がされた。

そして、目の前の人物の顔を見せられた。

「俺は、蓮斗です。『朝陽』じゃない。」

……苦しげに顔を歪ませたレンが、そこにいた。

「ぁ……ごめ、レンごめん……」

レンは何も言わず、ただ首を振った。

溢れてくる涙を拭い、立ち上がる。

「……外、行ってくる」

無性に風に当たりたかった。

ふらふらとした足取りで、扉に近づいた。

でも扉を開ける前に、レンに止められた。

「待っ……律樹さん、ダメです。」

レンは僕の手を引っ張り、無理矢理目線を合わせる。

「律樹さん、今はここにいてください。俺がいますから。大丈夫。怖いものは何もないですよ。」

そう言って、頭を撫でようとする。

僕はその手を弾いた。

「……ごめん、レン。やめて……。」

「っ……すいません……。」

レンは悲しげに顔を俯かせた。

「……でも、外には行っちゃいけません。」

次に顔を上げたとき、覚悟を決めた顔をしていて、レンは僕の手の甲に針を差し込んだ。

直後、耐え難い眠気がやってきた。

睡眠薬を入れられたのだろう。

「ぁ……」

僕は抵抗もできないまま、再び眠りに落ちた。