いきたい僕ら

……しばらくそうしていれば、朝陽は泣き止んだ。

そして何かを決意したように崖の淵へと歩みを進めた。

「朝陽……?」

僕は追いかけようと思ったが、何かに拘束されたように、体が動かなかった。

あと1歩進めば落ちる、というところで足を止め、僕の方を振り返った。

「律樹、約束、覚えてるか?」

約束……?

「朝陽の手の届かない場所に行かないっていうやつ?」

僕が朝陽にした約束だ。

これがあるから、僕は勝手にどこへも行かない。

「バカそっちじゃねぇよ。俺がお前にした方。」

優しく笑って、朝陽は言った。

朝陽が僕にした約束……。

「……あはは。冗談。ちゃんと覚えてるよ。」

「ちょっと危なかっただろ?」

そんなこと……ないよ?

『置いていかない、1人にしない』ってやつだよね?

苦笑いで答えると、朝陽は少し悲しそうな顔になった。

「そっか……覚えてんのか。忘れてるならそのほうが良かったんだけどな……。」

そう呟いて、朝陽はまた笑った。

瞳に大粒の涙をためて。

「律樹、わり。俺、約束守れそうにないわ……。」

「え?それってどういう……?」

言い切る前に、朝陽は後ろ向きに倒れた。

朝陽の後ろに地面はない。

下まで落ちて、肉塊になるだけだ。

血の気が引いた。

僕は急いで崖の淵まで走った。

でも僕の体は黒い鎖に縛られ、前に進んではくれない。

「朝陽!?待って、僕1人じゃ生きていけない!置いてかないでよ!!朝陽!!!」

不自然なほどゆっくりと倒れる朝陽に向かって伸ばした手は、何かに阻まれた。