いきたい僕ら

「お客様、着きましたよ。」

運転手さんに声をかけられて目を覚ました。

どうやら気づかないうちに寝ていたようだ。

最初に目的の駅を伝えておいて、本当によかった。

そこからバスに乗り換え、また20分ほど。

途中で花屋に寄って、午前11時30分、やっと目的地に着いた。

「律樹さん、俺中入っていいんですか?」

後ろからレンが言った。

「なんでダメだと思うの?」

「いや、去年ダメだったんで。」

そういえばそうだったね。

「……いいよ。支えてもらうって決めたから。」

「……そうですか。」

「それに、医者にも目を離すなって言われてるでしょ?」

「……そうですね。」

どこか上の空なレンに気付いたが、何も聞かなかった。

レンに指示を出してお墓の前までやってくる。

そこは去年僕が来たときのままになっていた。

言いようのない寂しさを覚えたが、顔には出さなかった。

「レン、少しくらいならいいと思う?」

「あーいいんじゃないですか?」

レンは花を替えながら答えた。

こいつ、聞いてないな?

まあいいか。

僕は車椅子から降り、墓石の掃除を始めた。

全部をやることは難しいけど、全部を任せることはできないから。

2人で掃除を終えて、お墓の前で手を合わせる。

……来年も来るね。

そう、心の中で口にして、車椅子に戻った。