いきたい僕ら

『なぁ、俺のわがままに付き合ってくれない?文字通り、一生のお願いだ。』

「……」

かける言葉が見つからなかった。

『たった1人の高校生の自殺だ。大したニュースにもならない。テレビでも報道されないだろう。蓮斗1人が黙っていれば、律樹は何も知らないままことを終えられる。辛い役を押し付けているのはわかってる。でも俺を、律樹の理想で居させてくれないか?』

「……わがままですね。」

俺はどうするのがいいのか……。

『知ってる。』

……決まってる。

最初から俺に選択肢なんてなかったんだ。

「……はぁ〜、何で俺はこういう役回りかなぁ……。」

中途半端に律樹さんに話せば、それこそ何をするかわかったものじゃない。

何も知らなければ、それは起きていないのと一緒だ。

どのみち、俺は黙っていることしかできないのだ。

『ごめんね……重い役割押し付けちゃって。』

「ほんとですよ。恨みますからね。」

頬を膨らまして言う。

朝陽さんは笑った。

『わかった。あ、あともうひとついいかな?律樹のことが好きな君に。』

ここまできたらひとつでもふたつでも、背負ってやるよ。

「なんですか?」

聞くと、朝陽さんの雰囲気が少し重くなった。

『「俺の」律樹だ。泣かせんじゃねえぞ。』

……。

「今まさに泣かせようとしてる人の言葉じゃないですね。」

そう言うと朝陽さんの口調は軽くなった。

『わかってる。律樹を泣かせるのは俺だけでいい。だから蓮斗。君は、あいつのそばにいてやって。それだけでいいから。律樹は、それだけで生きていけるから。』

律樹さんはいろんな人に大切にされていた。

その事実を、本人が知ることはないけれど。

「……わかりました。」

返事をして電話を切る。

「はぁ……重いな……。」

その命の重さを、俺は耐えられるだろうか。

苦しくなって、少し泣いた。